Dolcissima Mia Vita

A Thing of Beauty is a Joy Forever

2019-01-01から1年間の記事一覧

征矢泰子の詩

空蝉、木乃伊、鯉幟り。 詩人が好んで題材にするのはからっぽなもの、たましいも五臓六腑もぬぎすてた、風の吹き渡る空虚。 解体されるうさぎの目になみだを見、衰微していくバラからぬけだすたましいを見、みずからの魂をメリーゴーラウンドにのせてみつめ…

タリス・スコラーズを聴きにいきました

ひさしぶりに都会に出て 楽しみにしていた音楽会へ行ってきました ピーター・フィリップス指揮のタリス・スコラーズのアカペラの合唱 16世紀のルネサンスの英国とスペインの宗教音楽を中心にしたプログラムです ウィリアム・バード: 聖所にて至高なる主を賛…

カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』感想

※この文章にはネタバレがふくまれます。読みたくない人は読まないでください。 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』6年ぶりの再読です。前回同様今回も、さいごまで物語にはいりこめないままでした。 このようなSF的な設定がどうも苦手で、クローン人間…

サヤエンドウとアミエビのスパゲッティ

暦では小満 昨夜の雨もあがり きもちのよいてんきです カフェのランチ 今週のパスタは サヤエンドウとアミエビのスパゲッティ です みずみずしいサヤエンドウを歯ごたえが残る程度にさっと湯がいてアミエビとあわせました

塚本邦雄の歌

天使キャラメル広告塔に昼死せる天使がむらさきのうす笑ひ (『日本人霊歌』) 1958年に上梓された歌集のなかの歌 その3年前には森永製菓の関連企業の森永乳業が粉ミルクに混入した砒素による中毒事件で多くの犠牲者を出している そういう時代背景に即して読む…

ツナとキャベツのカレー風味スパゲッティ

カフェのランチ 今週のパスタは キャベツとツナのカレー風味スパゲッティです 減農薬栽培のやわらかい春キャベツとツナをあわせて 有機栽培のスパイスを使ったカレーパウダーでスパイシーに仕上げました

スピノザの人間観

Humanity cannot be the final end of Nature, because she is infinite, and must make use of us, as with all other things, as an instrument.— Spinoza, Baruch (1661) Short Treatise on God, Man and his Well-being 人間が自然の究極の目的であるは…

ボードレール「夕べの諧調」

Voici venir les temps où vibrant sur sa tigeChaque fleur s'évapore ainsi qu'un encensoir;Les sons et les parfums tournent dans l'air du soir;Valse mélancolique et langoureux vertige! 時は来て 茎にふるえつつ 花々は香炉のように蒸発する 音と…

壬生菜とエビのペペロンチーノスパゲッティ

さわやかな快晴の枚方・香里ケ丘 店の庭ではバラが咲き始めました 今週のパスタは 壬生菜とエビのペペロンチーノスパゲッティです みずみずしい京野菜の壬生菜とパプアニューギニア海産のフェアトレードのエビを合せてペペロンチーノに仕立てました 庭の花を…

映画「その名にちなんで」

どこの映画館も最大公約数の似たような映画ばかりで見たいと思う映画はほとんどなく レンタル屋さんも遠くてあまり利用せず そんなわけで映画をあまり見ない私ですが この映画はどうしても見たくて ネットでDVDを買って見たのでしした その理由はジュンパ・…

はじめての薔薇

今季初めての薔薇は「スノーグース」でした ほのかな香りはあるのですがとなりのジャスミンの高い香りに負けてしまっています 真っ白の花のすがたがきれい はじめての薔薇咲きそむるこのあした春のなごりの風光りつつ

700年の音楽史をCD1枚に

Jeremy Denk という米国のピアニストによるCDを聴いています タイトルは "c.1300-c.2000" 過去700年の音楽をCD1枚で回顧しようという こういう企画は大好きです 我々が普段聴きなれているのがどんなに狭い範囲の時代かよくわかる ギヨーム・ド・マショーやジ…

新田次郎『アラスカ物語』を読む

新田次郎著『アラスカ物語』読了しました。 最も心に残ったのはフランク安田がエスキモーを引き連れて移住した先で、インディアンの酋長と会見する場面、もともと敵対関係にあったインディアンの領分を侵す一触即発のところで、フランクが片言のインディアン…

たけのこと春キャベツとアンチョビのスパゲッティ

もうすぐ満開になる庭のジャスミンを一枝切って食卓に飾りました たいそういいにおいです 今週のパスタは たけのこと春キャベツとアンチョビのスパゲッティ 春のフレッシュな素材を組み合わせてシンプルに

けやき通りの新緑

母が逝ってきのうで十年 横浜生まれで 大戦中空襲で家を焼かれ 鎌倉に疎開した人でした アメリカのこと憎くないの と生前尋ねたことがあります 憎くない という答えに引いてしまった記憶 なぜ憎まないのだろう ふしぎです 自分が同じ立場ならば憎んでいたに…

精神と魂

"L'esprit se meut, l'âme s'émeut ; l'esprit raisonne, l'âme résonne ." François Cheng - Cinq meditations sur la mort autrement dit sur la vie. 精神は動く 魂は感動する 精神は考える 魂は鳴りひびく と試しに訳してみました 語呂合わせのようなこ…

ヒューケラとモッコウバラの咲く庭

ひと雨ごとに文字通りもりあがるようにして緑が増えてゆくうちの庭です 手前の赤はヒューケラ Heuchera 和名はツボサンゴ 穗になって咲くすがたが愛らしい 奥の黄色はモッコウバラ ことしはいつもより開花が遅かった これからジャスミン クレマチス 薔薇も咲…

椎の木

立ち寄らん蔭かげと頼みし椎しひが本もとむなしき床になりにけるかな 源氏物語を読んでいたらこんな歌がありました 「椎本」の巻の名前の由来にもなった 薫が八の宮の死を悼んで詠んだ歌です これを読んで思い出したのは芭蕉の幻住庵記の最後に記された句 先…

小泉文夫『音楽の根源にあるもの』を読む

「私たちが音楽的と考えていることが、ほんとうは人間の不幸の始まりかもしれない」 北極圏の鯨を逐うエスキモーとカリブーという馴鹿を逐うエスキモーの音楽の違いに関して 前者はリズムよく声をそろえるが 後者はリズム感に乏しいバラバラの歌 そこから著…

ラディッシュとあさりのペペロンチーノスパゲッティ

あざやかな赤のラディッシュが入荷 カフェのランチ 今週のパスタは ラディッシュとあさりのペペロンチーノスパゲッティ です ラディッシュをこんなふうに使うのははじめてかも 試食したらおいしかったのでした

鳥ならば飛び立ちなまし世のなかのはなしの接ぎ穂見いだしかねて

いい天気の一日 午後から中学の末娘の担任の先生の家庭訪問でした 28歳の先生は別世界の人みたいで話がかみあわず 言おうとしていたこともいい忘れてしまいました ひとと話をするのが苦手です だれとも話をせずに生きていければいいのにな

うつくしきことしか言はぬ人びとに倦みたる果ての若楓かな

選挙に立候補した人はきれいなことしか言わないな などと考えはじめると投票する気がなくなってしまうのですが なんだかなと思いながらも行ってきましたよ 近くの公園の若楓の緑が目にしみました 天皇への親近感をもつ人が76%という報道 ずいぶん高いんだな…

日一日日暮れのおそくなる庭の茉莉花の芽のあかくいろづく

いつもの年にくらべてことしはジャスミンの芽の数がずいぶん多く見えます 花の色は白なのですが 芽はこの通りあざやかな赤 開花するとえもいわれぬ芳香に庭が香ります あと数日で花開くでしょうか ジャスミンの花が咲くと初夏です たのしみ

まちがえてつくってしまったお弁当

いらないといわれていたのにまちがえてつくってしまった弁当をお昼にいただきました 減農薬玄米を前の晩に精米して朝炊いたものに無添加ふりかけ 中には海苔がはさまっています ウィンナー きぬさや ファルファッレのミートソース 秋川牧園の卵の卵焼き ミニ…

ハイドンの合唱のための世俗カノン

ミクローシュ・サボー Miklós Szabó 指揮のジュール女声合唱団 Gyór Girls' Choir の演奏で ハイドンの世俗カノン集を聴いています ハイドンのポリフォニーの腕前がよくわかる 対位法の充実したカノン集です どれも数分の短い曲なのにどれひとつとして同じも…

パプリカと焼豚とミックスビーンズのスパゲッティ

カフェのランチの今週のパスタです 国産のパプリカ 無添加の焼豚 ミックスビーンズ(ひよこ豆 大豆 黒豆 えんどう)をさっぱりしたオイルソースで仕立てました パプリカと焼豚とミックスビーンズのスパゲッティ きのうはお店をはじめて21周年の記念日でした …

題詠百首2019

facebook のイベント「題詠100首」に参加して百首詠みました 主宰の五十嵐様 ありがとうございました 2019-001:我 我もまた島とならんや善悪の彼岸に寄する波のまにまに 2019-002:歓 ぬばたまの夜のふけゆけば合歓の葉のまなこをとぢてねむる吾妹子 2019-003…

木下利玄の歌

心行きて指尖(ゆびさき)となりなでてゐる女のまろくしろきたたむき 子の生れ子の死に行きし夏すぎて世は秋となり物の音すむ 木下利玄の歌は響きが良い はじめの歌 心が指さきを通って女の腕に触れている 指ではなく心がなでている 指さきから心がしみでてい…

笹まくら

菅原や伏見の里のささ枕ゆめもいくよの人目よくらむ(順徳院、続後撰730) 住の江の岸による波よるさへや夢の通ひ路人めよくらむ(藤原敏行、古今) これもまたかりそめぶしのさゝ枕一夜の夢の契りばかりに(藤原俊成女) 順徳院の歌のもとになったのは藤原…

テオフィル・ゴーチエ「白鳥の歌」試訳

À propos du ‘Chant du Cygne’ Le cygne, lorsqu’il sent venir l’heure suprême,En chants mélodieuxÀ la blonde lumiêre, au beau fleuve qu’il aime,Soupire ses adieux ! Ainsi cette pauvre âme, à la rive lointaine,Lasse de trop souffrir,S’exhalai…