三人の盲目の姉妹、
(まだあきらめてはいけないわね)、
三人の盲目の姉妹が、
手に手に金色のランプを持っています。
塔にのぼって行きます、
(三人のほかに、あなた方も私たちも)。
塔にのぼります、
七日七夜 待っているのです。
(メーテルランク『ペレアスとメリザンド』第2幕第2場、杉本秀太郎訳)
メリザンドが塔の上で髪をくしけずりながら歌う歌の、最初の二つの詩節である(ドビュッシーのオペラでは、この場面は全く違う歌に差し替えられている)。
盲目の姉妹のイメージが鮮やかで、手探りで塔をのぼる様子が何か不確かで神秘的である。
そういえば、盲目のイメージはこの劇全体にしみわたっていないだろうか。
第1幕の冒頭で、道に迷うゴローも、森にいるメリザンドも、まるで盲目のように、今自分がどこにいるのか、どこに行こうとしているのか、わからない。
第2幕で、ペレアスとメリザンドが泉のほとりで遊んでいるうちに、彼女が指輪を落としてしまう場面の泉は、「盲人たちの泉」la fontaine des aveugles と呼ばれている。そこで指輪を探しても見つからない彼らは、まるで目が見えていないかのようである。さらに指輪を探しに洞窟に入ると、真っ暗で何も見えない。
メリザンドが指輪をなくすのと同じ時刻に落馬するゴローは、突然気の狂った盲人のように comme un aveugle fou 暴れ出した馬に振り落とされたと述べる。
老いた王アルケルは、視力を失ってほとんど盲目 presque aveugle になっている。
海辺の宮殿は霧が立ち込め、視界が遮られている。
登場人物全員が、まるで霧の中にいるように、視野を失い、自分がどこにいて、どこに行こうとしているのかわからないかのようである。
メーテルランクは『群盲』Les Aveugles という劇も書いていて、そこでは一人の神父以外は全員が目が見えない。
あるいはまた、こんな詩も書いている。
Les filles aux yeux bandés,
(Ôtez les bandeaux d’or)
Les filles aux yeux bandés
Cherchent leurs destinées…
Ont ouvert à midi,
(Gardez les bandeaux d’or)
Ont ouvert à midi,
Le palais des prairies…
Ont salué la vie,
(Serrez les bandeaux d’or)
Ont salué la vie,
Et ne sont point sorties…
目隠しをされた娘たち、
(金色の目隠しを外しなさい)
目隠しをされた娘たちが
運命を探している...
正午に開けるのは
(金色の目隠しは外さないで)
正午に開けるのは、
牧場の宮殿...
人生に挨拶をして
(金色の目隠しを締めなさい)
人生に挨拶をして
どこにも出かけない...
こうしてみると、盲目あるいは視界が遮られることは、この作家に繰り返し現れるライトモチーフのようなものだったのかもしれないと思われる。
自分には目が見えていると思い込んでいる人々も、実は何も見えていないのかもしれない。




