安部公房『他人の顔』を読む。ストーリーはともかく、顔と人格をめぐっていろいろと考えさせられた。 ギリシャ神話にある物語で、暗闇の中だけで愛し合っていたエロスとプシュケの関係が破綻するのは彼女が彼の顔を見たいと欲したからだった。 顔を見なくて…
完結しない言葉。宙吊りにされて浮遊する言葉。確実なものは何一つなく。夢の中でのように、非現実にふるまう登場人物たち。メリザンドの生い立ちについてもなにひとつ明かされない。森の奥の泉での、途切れがちな会話。劇ではなく、まるで詩のように、ある…
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