心行きて指尖(ゆびさき)となりなでてゐる女のまろくしろきたたむき
子の生れ子の死に行きし夏すぎて世は秋となり物の音すむ
木下利玄の歌は響きが良い
はじめの歌
心が指さきを通って女の腕に触れている
指ではなく心がなでている
指さきから心がしみでているかのような錯覚
「まろくしろきたたむき」繰り返される「ろ」「き」「た」が音楽的
あとの歌
木下利玄は4人の子のうち3人を夭折で亡くしている
その挽歌が痛切で泣きそうになる
引用した歌は淡々と事実を述べているだけなのになんと悲しい
最後の「物の音すむ」のあとしんみりする