AppleMusicでピエール・モントゥーの古い録音を聴いていたら、ブラームスの11のコラール前奏曲(作品122)の管弦楽編曲版があった。
原曲はオルガン独奏用なのを管弦楽用に色彩的なオーケストレーションをしている。シェーンベルクのバッハの編曲とちょっと似た感じ。
前に金管合奏用の編曲版も聴いたことがあるが、あらためていい曲ばかりそろっているなあと思う。ブラームス最晩年の、ほとんど絶筆と言っていい作品で、ひそかに恋しつづけていたクララ・シューマンの死後の悲しみのなかで、自らの死をも予感しつつ作曲された、とものの本には解説してあるが、音楽そのものは感傷のかけらもない、対位法の織りなす綾の美しい作品で、ちょっと聴くとバッハかとまちがうほどの、音楽的純度の高い曲です。
若いころからバッハをふかく学び、左手ピアノのためにシャコンヌを編曲したり、チェロソナタでは「フーガの技法」の主題を借りて自分なりのフーガを書いたりしたブラームスの、バッハ研究の生涯最後の総決算がこのコラール前奏曲だった。
よくバッハ モーツァルト ベートーヴェンと並べて語られるが、プロテスタントのバッハに対してカトリックのモーツァルトとベートーヴェンは、もちろん音楽的には多くのものを負っているにしても、宗教的にはどうだろう?
バッハのプロテスタントのコラールの精神をほんとうに血肉化して継承したのはメンデルスゾーンとブラームスだったのかもしれない。
モントゥーの演奏のリンクを貼っておきますね
https://music.apple.com/jp/album/pierre-monteux-boston-symphony-orchestra-1958-1959/467774194