Dolcissima Mia Vita

A Thing of Beauty is a Joy Forever

「よろしゅうおあがり」という表現

関東よりも関西に住んだ年月のほうが長いとはいえ、生まれが関東なので、いまでも関西は異郷のような感じがしている。その関西に住んで初めて知ったのは「食べる」を意味する「呼ばれる」というふしぎな表現。

「せっかくやし、夕飯たべていき」「おおきに、ほな呼ばれますわ」みたいに使う。

まるで食べることと招待されることが同義かのように。招待してくれる人がいて初めて食べる行為が成り立つかのように。

もう一つ好きな関西ことばは、「ごちそうさま」への返答で、「よろしゅうおあがり」というのである。標準語ではごちそうさまと言われたら「お粗末さまでした」だろうか。これは自分の作った料理はたいそうなものではないという謙譲表現だ。しかし「よろしゅうおあがり」とはなんときれいな言葉だろう。食べてくれたことへの感謝、ともに食卓を囲むことへの祝福、そんな響きがする。