Dolcissima Mia Vita

A Thing of Beauty is a Joy Forever

ベルトラン・タヴェルニエ「田舎の日曜日」

「田舎の日曜日」Un Dimanche à la Campagne という映画のことを教えてくださったのは阿部良雄先生。
フランス象徴詩の講義の合間の雑談でした。
蓮實重彦などはけなしていますが、私は大好きです」と。
雑談のときだけに見せる、含羞を帯びた笑顔で。
下宿から歩いていける映画館 下高井戸シネマでやっていたのを見に行ったのはそれからまもなくでした。
息子一家が日曜日に老画家のもとを訪れて一日遊ぶ 途中から独り身の娘も合流する ただそれだけの映画なのに、終わったあとの静かな深い余韻はなんだろう。
みんな帰ったあと、ひとりに戻った老画家が、アトリエの描きかけの絵をはずし、真っ白のカンヴァスをかけて物思いに沈むラストが印象的です。
背景に流れていたのはフォーレ晩年の優しい室内楽 
明示されていないものの、20世紀はじめの、ベルエポックと呼ばれた時代が舞台のこの映画にぴったりでした。
幻影のように明滅する亡妻と、妖精のように浮かんでは消えるふたりの少女。
監督のベルトラン・タヴェルニエ Bertrand Tavernierの訃報を聞いたのはこの春のことでした。
このディスクは、むかしカフェをやっていたころ店でよくかけていたものです。 

 

 

 

 


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