Dolcissima Mia Vita

A Thing of Beauty is a Joy Forever

清明に生まれて

16年前のきょうは肌寒い曇りの日だった。日曜日で仕事は休みで、みんな家にいた。夕方に妻が産気づいたので、かねてからお願いしていた助産師さんに電話して来ていただいた。80代と50代の二人の助産師に両脇を支えられて赤ん坊が産み落とされたのは6時すぎだった。2歳の中の子とともに見守ってくれていた10歳の上の子がへその緒を切った。私がお湯を用意して枕元に運び、87歳の上野はつい助産師が産湯を使わせてくださった。言葉をかけながら、やわらかくやさしく赤ちゃんを包み込むようにして洗ってくださる手つきを家族みんなで見守っていた。産湯が終わると上野先生はひと仕事終えた表情で、別室でうまそうにタバコを吸ってから帰られた。

肌寒い夜だったので、電気のヒーターをふとんの近くに寄せて、赤ちゃんを挟んで妻と私は眠った。

あれから16年、そんな赤ちゃんも高校一年生となり、私の目の高さほどまで背が伸びた。新しい制服はまだ板につかないようだけれど、誕生日おめでとう。

写真はティラミス好きの娘に妻が作ったティラミスです


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