ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」Op.24 は好きな曲の一つ。
パガニーニ変奏曲には手も足も出ないけれどこれは何とか弾けるかしらと思って、無謀にも全曲さらったこともありました。
細かいレースに縁どられたような繊細なヘンデルの主題が魅力的です。
調は変ロ長調。ブラームスのお好みの調だったのでしょうか。第二ピアノ協奏曲と同じ調。Bフラット→C→D と動くはじめの主題の旋律の線まで似ています。
ピアノの曲なのに、弾いているとオーケストラのいろんな楽器が聞こえるような気がするのです。たとえば
右手の、短い休符を挟みながらぴろぴろとさえずるようなメロディーはフルート、左手の和音はホルンのような音がします。
ちょっとちがうけれど第四交響曲のフィナーレの途中の、ホルンのオブリガートでフルートのソロがかそけく歌うところを思い出します。
ところで エドマンド・ラッブラ Edmund Rubbra という作曲家がこの変奏曲をオーケストラ用に編曲しているのを先日はじめて聞いたのですが、ここのところをほんとうにフルートとホルンに吹かせていて驚き、同じことを考えている人がいたんだなとうれしくなりました。
なかなかよくできた編曲で、編曲者のブラームスへの敬愛の念が伝わってきます。フーガの最後の盛り上がりではティンパニの持続音のクレッシェンドの上に金管が華やかに鳴り響いて聴きごたえがありました。
ブラームスは室内楽やピアノの曲でも、いつもオーケストラの楽器が頭の中で鳴っていたのかもしれませんね。