雨の歌
雨うけに雨おつるおとたえまなくものをおもへどあふすべのなき
雲となり雨となりても逢ふことのかなはぬ恋とさとりぬるかな
あすの米あらふくりやの小夜ふけてさくらをちらす雨ふりやまず
たましひのくらがり峠けふも雨妥協といふことつゆしらぬまに
ちらぬままくちはててゆくあぢさゐの花のをはりにふりそそぐ雨
さみだれにつねよりまさる思ひ河身をうきくさのながれながれて
しめやかにあきさめのふる音すなりむかしのひとのゆめよりさめて
かまくらや阿弥陀如来のながあめにもだしおはすやしとどぬれつつ
半身をぬらしてきみのさしかけしちひさき傘によりそひてをり
だきよせて傘にいれれば真白なる頬にはりつく君のぬれ髪
かさをさすほどでもなくて雨のふりわがこころにも雨のそぼふる
ながあめにぬれそぼつらむぬばたまの夜をこめてなくみみづくのこゑ